Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

「放射能」について①

東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故は、日本を大きく変えたと言える。反原発脱原発原発推進派に分かれての議論は、どちらが正しいとか以前に、日本人にとって「エネルギーとは」「原発とは」「放射能とは」「故郷を失うとは」といったことを考えさせるきっかけとなった。これまで、そういった問題はどちらかと言えば二の次であって、どこかで誰かがうまくやってるだろう的な楽観的立場であったことは間違いないわけだ。それが、実は我々全員が当事者であることにようやく気づいたわけだ。

日本人にとって広島・長崎への原子爆弾投下以降、「放射能」に対する忌避感は半端ない。しかしそれは、「放射能という見えない毒のようなものが体に入ると毛が抜けたり鼻血が出たりして死ぬ」という大雑把かつ偏った認識でしかなかった。しかし実際には、放射能というのは放射性物質α線β線γ線といった放射線を放ちながら崩壊して安定的な物質になる性質を表す用語であり、直接人体に影響があるのは放射線、そして放射線を出す物質を放射性物質と呼ぶ。放射性物質の崩壊には半減期と呼ばれる期間があり、放射線を出して崩壊する確率から、安定的な物質との割合が半分になるまでの時間を指す。

東日本大震災で排出された放射性物質のうち主なものは放射性セシウムセシウム137とセシウム134であり、それぞれ半減期は30年と2年である。セシウム137は30年でおよそ半分に、セシウム134は2年で半分になるということである。したがってセシウム134に関して言えば、東日本大震災から6年が経てばおよそ1/8にまで放射性物質は減っているということになる。

また、放射線による人体への影響はシーベルト(Sv)という単位で計測される。これは以前はグレイ(Gy)という単位が用いられていた。1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故では、東ヨーロッパだけではなく日本にも放射性物質が飛来した。その際にはグレイ(Gy)という単位で人体への影響を観測している。