Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

世界帝国と宗教

当時の世界の大部分を支配した帝国といえば、異論もあるとは思うけれど、僕としては以下かなあと思う。

広い領土を支配する方法として、宗教が用いられたケースがある。あるいは次々と領土を広げた結果、元の土地やその住人たちが信じていた宗教が周辺の地域へ広がったというケースもある。

最も有名なのはローマ帝国オスマン帝国だろう。

ローマ帝国は4世紀からキリスト教を国境と定めた。程なくして西ローマ帝国は滅んでしまうが、ローマ教会として西ヨーロッパに対してその後与えた影響力は計り知れないし、東ローマ帝国ビザンツ帝国)における東方正教会も、その後の東ヨーロッパやバルカン半島などに与えた影響は大きい。キリスト教が今日のように世界的に広まったのは、このローマ帝国による国教化と、後の大航海時代におけるポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスの宣教師による布教によるものだろう。

西ヨーロッパと東ヨーロッパの違いを、このローマ・カトリックの影響下にあったのか、東方正教会の影響下にあったのか、で説明することもできる。偶像崇拝が禁止されている東方正教会はやはり地味感はあるものの、それぞれの国の教会があったことで、地域によって特色のあるものになっていて興味深い。一方、ローマ・カトリックの華やかさがあったからこそルネサンス期のあの偉大な作品は生まれたと思うし、行き過ぎた権威主義への反発から始まった宗教改革はその後の市民革命に繋がっているわけで、これもまた西ヨーロッパを象徴するものだ。

オスマン帝国はカリフ(スルタン)が支配する正当なイスラム帝国であって、支配地域の住民の信仰については比較的温和だったものの、やはりムスリムイスラム教徒に対しての優遇措置があったことから、支配地域でイスラム教徒が増えるきっかけになったことは事実。ボスニアとか。元々中東は石油が出る前は東西貿易の中心だったわけで、争いが耐えない上に土地が枯れているとなると、強い戦士を生み苦行に耐えられる思想としてのイスラム教は必要だったのかも知れない。御用学者もまだ必要ないわけで。

よくユダヤ教キリスト教イスラム教っていう順序で一神教の流れを説明するケースがあるけれど、キリスト教はヨーロッパでだいぶ変遷しちゃったし、生まれた経緯としてもイスラム教ってキリスト教よりもユダヤ教に近い感じがする。

領土が広いと、色々な気候の土地があり、色々な言語や民族が含まれるわけで、そんな状況で国民をある程度まとめるには宗教はとても利用しやすいっていうのはあると思う。特に中世から近世にかけての世界ではとても利用価値があったのだろう。

もしインドから大帝国が発生していたら、仏教とかヒンズー教とかが世界中に広まっていたりするのかなあ、と妄想するとちょっと楽しい。