Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2009年12月

おばあちゃんへ僕の一番古い記憶は、お母さんの背中から見た、おばあちゃんの家の明かりです。あたりは真っ暗で、水の流れる音が聞こえていました。 僕をおんぶしていたお母さんは、ホッと一息ついて、暖かい光の方に向かって歩きました。 おばあちゃんの家…

1992年9月

ウォームアップのあいだ同じ9区を走る先輩の背中を見続けることで、体中の血が燃えるような緊張が、少し和らぐような気がした。地区大会から県大会へ行けるのは1チームのみ。現在トップを独走するAチームのアンカーの方が、Bチームの僕よりずっとプレッ…

2003年8月

SE生活も2年目に入り、残業と徹夜の生活は終わりそうも無かった。眠い目を擦りながらいつもより早く起床し、シャワーを浴びてヒゲを剃り、スーツに着替えて新幹線に飛び乗った。人でごった返す東京駅は暑く、重い紙袋を抱えて歩くと、体中から汗が吹き出…

2005年5月

4月28日の深夜に破水して以降、陣痛を進めるあらゆる手段がとられてきたが、まだ陣痛は弱いままだった。 ベッドの上で点滴をうける妻の体力もそろそろ限界だった。5月1日朝、ゴールデンウィークを迎えた新宿は静かだった。新宿のJR病院で向かえる三回…

1978年6月

1978年6月12日、その日母は僕を連れて白石市長町の実家にいた。母の実家には大きな台つきのテレビがあり、その上には大分立派な置時計があった。 テレビは、8畳ほどの正方形の茶の間の角に、中央に向けておいてあり、部屋の真ん中にはこたつ付きのち…

1978年1月

1978年1月23日、午後2時43分。 その日は雪がしんしんと降っていたそうだ。前日に陣痛を感じた母は、東北本線白石駅前にあった自宅から徒歩で公立刈田綜合病院に向かった。 途中痛みが激しくなり、歩くのは非常につらかったらしい。 4ヶ月前に祝宴…