Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

明日はサッカーの試合ですぜ、姐さん


明日は、息子が入っているカワイサッカー教室主催の大会があり、一家で名取まで行ってくる。大会といっても、息子が通う幼稚園のメンバーは2人しかおらず、1年生の子を混ぜても4人しかいないため、他のチームに混ぜてもらうことになる。チームワークもへったくれもない。ただただボールを追いかける烏合の衆と化すのだが、本人たちはとにかく真剣なのだ。僕も真剣に付き合わねばならない。どうにかしてその烏合の衆と化してしまい疲れるだけで一向に楽しくないサッカーから脱皮し、存分にサッカーの魅力を味わえるような瞬間を経験して欲しいものだ。


上は、昨年の息子の写真である。計3回ほど行ったゲーム形式の競技で、最後にキーパーを担当した息子は、ボールが敵陣にあると分かるやボール目掛けて駈け出した。(本当は僕がけしかけたんだけどね。ボソッ)
結局ボールを触ることはなかったし、敵チームにボールを奪われて急いでゴールには戻ったのだが、相手も幼稚園児ということでガラ空きのゴールに遠目から打つような気の利いたシュートなどできず、幸いなことに失点もしなかった。ただ、この大会を通じて最も盛り上がった瞬間であることは確かである。10人以上の子どもたちがボールを囲んで蹴り合ってるのを場外から見るのは、例え我が子がそこにいたとしても決して楽しいものではない。息子がゴールを離れて走りだしたとき、同じチームの親たちはオイオイと湧き上がった。決して褒められるような行動ではなかったかも知れないけれど、一時のスリルを与えたことは確かで、それはボールに群がる烏合の衆を見るだけよりはよっぽど楽しいものだった。


僕が地元のサッカー少年団に入ったのは小学5年生。聞けば、関係者の努力によりようやく設立されたばかりのスポーツクラブだった。もちろん、今の子どもたちとは全くレベルが違う、と思う。少なくとも、万年補欠だった僕の当時の実力は、今の少年団であれば全くついて行けないレベルだろう。
だからといって、自分が果たせなかった夢を押し付けるが如く息子をサッカーに導いた覚えはない。息子の幼稚園を会場に催される運動系の教室は、幼稚園児が参加できるものに限定すると体操とサッカーしかない。マットや跳び箱といった体操は別にすると、幼稚園児でも楽しくプレイできるメジャーなスポーツというのは、考えてみるとサッカーか水泳ぐらいしかない。野球やバスケ、バレー、テニス、剣道、スキー、スケート、卓球・・・。幼稚園児にはやや難しかったり、用具が必要だったり、特別な施設や季節に依存したりするものが多い中、サッカーなら最悪ボールがあればできる。しかも、僕らの時代に比べるとサッカーはずっとメジャーなスポーツになった。親が「もしかしたらあんなサッカー選手に」と勝手な夢(より正確に言えば、ひとりよがりの妄想)をふくらませるには、十分な参考事例が溢れているのだ。僕らの時代だと、せいぜい釜本選手。スポーツ好きな人で木村和司。サッカー好きという特異な人でマラドーナが出てくる、そんな時代だった(と思う)。
今なら憧れる選手には事欠かない。香川、本田、長谷部、長友、もう少し古く行こうか、中田、俊輔、名波、カズ、日本人ですらこれだ。


サッカーをやるには、とても良い環境になってきた。それだけライバルもいるということだ。別に息子がサッカーで大成することを期待してはいない。ただ一つ願うのは、サッカーの楽しさを味わって欲しいということだけだ。仲間と一緒にボールを追いかける楽しさを感じて欲しい。チーム一つになって目的に向かい協力し合い、達成することの快感を覚えて欲しい。サッカーの楽しさの本質というのは、僕はそこにあると思っている。