Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

滑ったら琴線




痛むスネをさすりながら、カーステレオを付けた。いつも聴いているいつもの音楽の中に、一瞬だけ懐かしさを覚えた。
見たこともない土地、オレンジ色の光、ホコリっぽい空、工事だらけの道路。それは、中学・高校・大学時代にそれぞれ行った東京のイメージたちだった。時系列も場所もバラバラに、それぞれの印象的なシーンだけが頭に浮かんだ。どうしてその時のその曲のその部分で、そんな思い出が瞼に浮かんだのかよく分からない。スネの痛みや、太陽の光の具合や、ホコリっぽい空や、旋律のある部分が、きっと僕の琴線に触れたのだろう。


何気ない日々が、何気ない過去を呼び覚ます。その一瞬だけ、僕は過去に戻ることができる。僕が音楽を聴き続けているのは、ひょっとするとそのためかも知れない。