Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

エンドレス・リピーティング、とげまる

それなりに音楽を聴くようになったのは、大学から。

うっかりバンドでドラムを担当することになり、自分が叩くという視点で音楽を聴くようになったことと、それをきっかけに様々な人と音楽について話す機会が増えて、それぞれの方が勧める音楽を手当たり次第に聴くことになったからだ。
古くはBob Dylan、Marbin Gaye、Stevie WonderBoz ScaggsThe Rolling StonesNeil Young
当時流行った音楽といえばNirvanaRadiohead、DinasourJr.、GNR、Oasis、Extreme。
SadebjorkAlanis MorissetteBen Folds Five、Elvis CostelloSheryl Crow、Police(Sting)なども。
邦楽だったら奥田民生玉置浩二井上陽水スガシカオ山崎まさよしスピッツサニーデイとか。
サークルの先輩が歌っていた吉田拓郎とかチューリップなんかも聴いた。
Bill Evansあたりのジャズも聴いたし、フランスやアフリカも少し聴いたかなあ。

ともかく色んな音楽があって、それぞれジャンルや時代があって、影響されたアーティストの系譜があり、コードの流れや装飾音の入れ方、歌詞の内容と韻、何よりも音楽のテーマがあった。
すごく良いなーと思った曲もあったし、正直なんじゃあこりゃああ!という曲もあった。
最初、ん??と思った曲でも、聴きこんだら好きになったものもあったし、最初良いなと思っても聴きこんだら薄っぺらさに気づいたり。

好きになった曲やアルバムは今でも良く聴くし、当時あまり聴かなかった曲も、今聴くと良さに気づくこともある。
最近の曲も探してはみるけれど、どうしても昔から好きなアーティストの音楽を辿ってしまう。
お!これいいな!と思った新人も、実はプロデューサーが好きなアーティストと同じだったり、好きなアーティスト自身だったりする。
だからといって「最近の音楽は…」なんてことは言いたくない。
時代が変わって、あるいは求める人たちが変わってしまって、音楽が変わるのは自然だと思う。
そして前の時代の偉大なアーティストに影響されたり、そのアーティスト自身が今だ創作意欲が衰えていなかったりというのは、どの時代だってあったことだと思うのだ。

いずれにせよ、音楽というのは芸術にカテゴライズされる文化の中でも、特に身近でかつ時代背景にとても影響を受けるものなのだなあ、としみじみ感じる。
家事をしながら、仕事をしながら、子どもを寝かしながら、口ずさんだり頭の中で楽しんだりできる文化。
その年その年に耳に入り、心にしみ込んだ一つ一つの曲。

多分音楽の感動って大きく二つがある。
一つ目は、初めてその曲を聴いたときの印象。
自分の好みや傾向、あるいは育った環境なんかも影響するかもしれない。
そしてもう一つは、その曲に宿った思い出。
あの時、あんな時に歌った曲。歌えば、そのときの匂いまで思い出せるような、そんな瞬間。
そしてそれは、音楽が常に身近にあって、生活の中でいつも歌って楽しんだり気持ちが安らいだりしたからこその感動なのだ。

だから、僕は今も音楽を聴き続ける。
もちろん、良い曲を聴いて、今を楽しみたい。
でも更に、数年後や数十年後に、今この瞬間の気持ちや匂いやありとあらゆる状況が、音楽と結びついて思い出し感動できるときが待っているからだ。
今この瞬間の気持ちをすべて書き記すなんてできない。
それは、音楽という指標と共に心の倉庫にそっとしまっておくことしかできないのだ。

そういうわけで、今僕の頭の中にはスピッツの「とげまる」に入っている曲が断片的に繰り返し流れている。
そろそろ新しい音楽に出会いたくて、来週あたり仙台のタワーレコードでしげしげと選びたいのだが、そんな時間無いかなあ。