Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

えがお満開

残念ながら、3月はミニコミ紙の発行ができなかった。


しかし、2月末に発行したミニコミ紙上のプレゼントコーナーについては、きっちりと抽選と配達を行わなければいけない。昨日から粛々と応募者リストの作成、抽選、当選者の住所から区域と担当者を調査、プレゼントの簡易包装などを行った。
気づくと、2月号のプレゼントはミネラルウォーターとマスクだった。何と何と、この被災後にバッチリなプレゼントである。しかも品物は事前に保管していたので、提供元の被災状況に全く依存していない。この偶然はちょっと不気味なぐらいだ。
当選した皆さんは喜んでくれるだろうか。少しでも皆さんの笑顔に繋がればいい。


東京で絵本を集めてくれている方がいる。偶然にも、昔僕が住んだところの近くだ。その3年ほどの間に、結婚し子どもが生まれた。とても思い出深い場所だ。
目を閉じて、しばし思い出に浸った。大抵は家族で歩いた思い出だ。近所の公園、お気に入りのお店、スーパー、甘味所、神社とお寺、区役所の出張所、市民センター。
そんなとき、Twitterでこんな一文を見かけた。「東京の桜が開花です」


その瞬間、僕の目に一面の桜が浮かび上がる。飯田橋から市ヶ谷方面にかけて川沿いに咲き誇る一面の桜。僕は息子を自転車に乗せ川沿いの道を走った。息子の黄色いヘルメットが左右に揺れ、時折見える小さい手はしっかりとハンドルを握り締めている。息子が肩を揺らして笑っている。きっと満面の笑顔だ。ペダルを踏む。ペダルを踏む。風が時折花びらと共に頬をかすめる。大学生の一団が歩いている。僕はハンドルを右にきって橋を渡り、対岸を逆方向に走った。背中に汗を感じる。風がとても心地よかった。


妻と子どもたちに会いたい。そして生後11ヶ月の娘に、生まれて初めての桜を見せてあげたい。
もし笑顔を見せてくれたなら。家族の笑顔が満開になったなら。きっと永遠に忘れない一瞬になるだろう。