Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

君と僕のステージ




息子にとって幼稚園最後の発表会が終わった。僕の父母も一緒に4人で観たのは初めてだった。
息子はとても落ち着いていた。息子はオルガンを弾き、また違う曲で歌を歌ったのだが、緊張していたようには見えなかった。きっと息子のことだから、自分の意思で親を探したり手を振ったりすることを拒否したのだと思う。見ているこっちが寂しくなるくらい、真剣な面持ちでジッとステージにいた。どんなに上手に弾くよりも、どんなに上手に歌うよりも、そうして真剣になれることが一番の成長だと思う。自分を自分の意思で律すること。それは誰もが自由と引き換えに背負わなければならない義務だ。33年生きた僕でさえまだまだ未熟だ。この長い長い鍛錬の道に、息子はささやかに、でもしっかりと足を踏み出しているのだ。


ライトに照らされたステージに立つ息子を見る。見られることを自覚してきた息子と、見る側になったことを自覚し始めた僕。家に帰ったら、息子を抱きしめてあげよう。