Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

脱却アート

アヒルと鴨のコインロッカー

ふと時間があったので、仙台駅二階で撮影してみた。映画「アヒルと鴨のコインロッカー」にて、実際に登場するコインロッカーである。開けてみたい衝動にかられたが、電車の時刻が迫っていたのでやめておいた。いつか、このロッカーにCDでも入れてどこかにふらりと出かけてみたい。もちろん、CDはあの神様のCDだ。


この日は、午前中からめまぐるしく移動したり、会議において聞いておくべきことを逃すまいと集中したり、子どもにプレゼントする絵本を必死で選んだり、フル回転が続いてしまっていた。このあと乗った電車の中であっという間に睡魔に襲われてしまうくらい疲れていた。そんなとき、少しばかり遊び心が入ったひとときが嬉しい。こんなふうに写真を撮り、いつか誰かに見せようと微笑む瞬間が心に爽やかな風を送ってくれる。映画のワンシーンが心に浮かび、ストーリーの中に身を置くと、幾分心と体が軽くなったような気がした。


映画ばかりではなく、小説に出てくる場所、公共の場所で演奏される生バンド、置かれた場所とは全く異なる場所を描いた絵画、そういったものが与えるひとときの現実からの脱却に、僕らは救われている。アートとはそういった役割なんだ。


必死に頑張る人々の中に、そんな一瞬があればいい。そう祈らずにはいられない。