Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

通り過ぎただけのチームメイト

昨日は東松島市へ行ってきた。結構早めに出発したために時間的には余裕がかなりあったため、高速を降りて一般道をじっくり走ってみた。ナビは国道45号線ではなく県道8号線を指示し、有料道路沿いをひたすら走る。利府の県サッカー場脇を通ると、昔日本代表の試合を観に行った記憶を何となく思い出す。


学生の頃、サークル活動で結構頻繁に旅行に行った。もっとも、交通手段はもっぱらヒッチハイクであり、宿泊方法も基本テントという格安旅行である。メンバーは4〜5人いたのだが、夕方の集合場所だけ決めて日中は単独行動だった。まだまだ携帯電話は普及しておらず、連絡手段は「集合場所の駅に電話して呼び出す」という今となってはとてもアナログな方法だった。


一人で見知らぬ町を歩くと、きまってとても奇妙な感覚に包まれた。僕の知らないところで、知らない人たちが、僕とは違った生き方で生きていることがとても不思議に思えた。地図でしか知らなかった地名の場所に、本当に人がいて本当に生きてるということに何故か驚いてしまった。ああ、本当に人がいるんだな、と思った。


長らくそんな感覚は忘れてしまっていたけれど、昨日は久しぶりにそんな気持ちを感じることができた。みんなそれぞれの場所で、それぞれの人生を送っている。きっと僕らと同じように毎日起きて、同じように生きることの大変さと楽しさを味わっているのだなあ、と思った。みんな地震を経験し、多くの人は津波に衝撃を覚え、そしてかなりの人が大切な何かを失ったのだと思うと、とても他人事ではなかった。僕はここを通り過ぎるだけだけれど、きっとじっくり話しあえば色々と分かり合えるんだろう。僕らはチームなのだ。そう思った。


きっと、誰もが世界中のみんなを、世界中の全ての地域に対してそう思えたのなら、本当の平和がやってくるに違いない。