Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

真鯉と緋鯉のスピリット




とてつもなく良い天気な4月最後の日曜日。息子をサッカーに送り出して、僕はすぐに床についた。前の晩、元気な子供たち(主に娘)のお陰でなかなか寝ることができず、少々疲れてしまっていたからだ。ところが、暇を持て余した娘が寝室へやってくる。僕はGW後半に予定している旅行に向けて準備しておいた動画をiPadで再生させ、そのまま眠る。ああiPadよ。僕の健やかな春眠のため身を粉にして働いておくれ。


妻の声で目を覚まし、ボーっとする頭を振りきって息子の迎えに車を走らす。学校に着いてみれば、息子は上級生に混じってプレイしてるじゃないか。予定の終了時刻を過ぎ、風もなく灼熱のグラウンドで息子が走る。幸い、一昨日から続いていた咳は今はそれほど出ていないようだ。体の大きさがまるで違う上級生に向かって果敢にも突撃する息子。あっさりかわされ、ボールが足につかず、体で押し倒されてもなおボールを追い続ける。その負けん気さえあれば、どんな事でもきっと強くなれるはずだ。どんなテクニックよりも、そのスピリットが全ての本質なのだ。


午後からは家族4人で白石市内の観光地へ。無数の鯉のぼりに興奮した娘は、そのまま公園で全身全霊をかけて遊び続け、遂には疲れ果てて何も耳に入らない状況に陥った。息子にもこんな時期があった。自分がやりたいことをとことんまでやらないと気が済まない。父親に抱きかかえられ、泣きながら車へ向かう娘。「うまくできない」「痛い」「暑い」そんなことよりも、「やりたいことをやらせてもらえない」ことに対して涙を流す娘。息子と同じだ。君の負けん気は、果たして自らをステップアップすることに繋げることができるのだろうか。僕たち親は、それを優しく見守っていくことができるのだろうか。


鯉のぼりは、僅かな風を受けて空を泳ぐ。大きい真鯉はお父さん、小さい緋鯉は子どもたち。それはそれは楽しそうに泳いでいた。