Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

ざわ・・・ざわ・・・なりスピンオフ



麻雀漫画にも結構有名なものがあって、そのひとつに「アカギ」という漫画がある。Vシネマにもなったし、アニメ化もしてる。Vシネマでは確か柏原崇が演じており、アニメでは実際に麻雀の打ち手でもある萩原聖人が声を演じている。昭和30年代から40年代あたり?に裏麻雀界に旋風を巻き起こした天才・アカギが、その独特の感性と豊かな才能を生かして次々と強敵を破るという物語である。
ところが、実はこのアカギという人物は、元々は「天」という現代を舞台にした麻雀漫画に登場したサブキャラであり、「アカギ」という漫画はいわゆるスピンオフなのだ。スピンオフ作品が元々の作品を上回ってしまうという良い例である。


何故アカギが人気になったかというと、その傑出した才能や感性もさることながら、何にも縛られない生き方や「天」の登場人物に語りかける言葉に魅力があるからだろうと思う。上に貼った画像は、「天」終盤の1シーンで、死を前にしたアカギが「天」の副主人公といえる「ひろ」に人生を諭した後の場面だ。「ひろ」は、裏麻雀界という特殊な場所で生きている他の登場人物とは異なり、一般人だったはずが少しばかり麻雀センスがあったがためにひょっこりと裏麻雀界に入り込んでしまった人物だ。なので、生活感とか金銭感覚のようなものが我々一般人と似ており、共感を覚えるキャラクターなのだ。
その「ひろ」に対して、アカギは「【ふつうの生き方】なんて捨てちまえ」と諭す。そういった感覚に縛られることで、動きを止めることが良くないと言う。結果が三流でもいい、かっこ悪くても、誰かにダメ人間と言われようがいい。情熱を持って動け、とアカギは言う。カッコイイ。


しかしこの漫画、終盤はずっとこんな調子でアカギの言葉に登場人物が一喜一憂する話が延々と続いている。これは果たして麻雀漫画なのかと疑いたくなるけれど、逆にアカギだからこそ許されるとも言える。これほどに強烈な印象を残し人気が出るキャラクターをつくりあげた時点で、この「天」という漫画は成功と言ってもいいかも知れない。