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蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

伊坂幸太郎『ラッシュライフ』2005,新潮文庫 −ミステリー小説キャンペーン

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)


いやあ面白かった。伊坂幸太郎すごいな。あっぱれ。この本をミステリー小説にカテゴライズすることに若干違和感はあるけれど、まあミステリー作家としても著名な伊坂さんの作品ということで。


Amazonや裏表紙に書かれているとおり、少なくとも5人の登場人物がそれぞれの物語を紡ぐのだが、ある場所・ある人・ある行為について少しずつ時間をずらしてすれ違い、それぞれが知らず知らずのうちに影響を与え合う。その関連を知っているのは、読んでいる僕だけ。不可思議な小細工も、小手先のトリックもない。並行に走る複数のシンプルな物語が、徐々に交差していく様子が何とも楽しい。
これは良く考えられているなあと感心した。それだけではなく、それぞれの登場人物がとても個性的で魅力的でもある。更に、おそらく文体がそうさせるのだろうが、伊坂ワールドというか、一見ドライなのにどこか親しみを感じる世界観をきちんと味わえる。すげえなあ。


また少し時間を置いたら次の伊坂作品に挑もうと誓うのであった。