道尾秀介『向日葵の咲かない夏』2008,新潮文庫 −ミステリー小説キャンペーン

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

陰惨な内容だという評価を見ていたので覚悟を決めて読んだけれど、途中で登場してくる仮説の筋書きに比べて、終盤に判明する真相の方がまだ救いがあるような気がした。陰惨というかダークな設定に徐々に慣れて、終盤は耐性がついてしまったのかもしれない。なので覚悟していた割りにはそれほどショックを受けることは無かった。もう一度読みたいかというとそれは無いかなあ。

何作か叙述トリックのミステリーを読んできたけれど、今回もやはり「ん？」「んんん？」と思うシーンは幾つかあった。そこで手を止めてじっくり考えれば、おそらく作者の意図したどんでん返しも想像がつくとは思うのだけれど、それではつまらないので敢えて騙されようとする。すると手を休むことができなくなり、一気に読ませてしまうという仕組みなのだ。それはハマってるとか徹夜本だとか言っていいのだろうか？若干納得がいかない。

本作で一応ミステリーというカテゴリで小説を読むのは区切りをつけようと思う。「慟哭」など読みたいミステリーもあるし近いうちに読むことにはなりそうだけれど、その他にも比較的ライトに読めそうな小説にチャレンジしていこう。