Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

ソーシャル・ネットワークに物申す

ソーシャル・ネットワーク」は、まさに今時代のトレンドだ。映画にまでなってしまった。→http://www.socialnetwork-movie.jp/

Wikipediaによれば、ソーシャル・ネットワーキング・サービスとは次のように定義されている。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(英語: Social Network Service, SNS)は、社会的ネットワークをインターネット上で構築するサービスの事である。」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9

つまりは、以下のような背景により、ネットワーク上で、社会的つまりリアルと同等に人間同士がコミュニケーションを取れる、ということだ。

  • 光回線ADSLが普及し、個人のネットワーク環境が著しく向上した
  • CPUやRAMの性能が飛躍的に向上し、かつ安価で入手可能となり、個人PCの性能が著しく向上した
  • これらのIT環境の向上に伴い、ネットワーク上の多様なサービスが生まれた
  • モバイル端末の性能の向上(特にスマートフォンの普及)により、移動中でも上記のサービスを利用できるようになった

しかしながら、ちょっと待って欲しい。社会的ネットワークとは、そもそもリアルな世界での人間同士のコミュニケーションのはずだ。いくらIT環境が整いサービスが普及したとしても、人間がリアルに会話するときに交換される情報に比べれば、かなり限定されたコミュニケーションであることに変わりは無い。
もし、あなたが人恋しくて誰かと親密な関係になりたいとしよう。そしてソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用して多くの友人と交流し、フォロアーは何千人となり、ページビューやトラックバックは書くたびに増え、ネットワーク上でどのような社会的ネットワークを構築しようとも、きっとあなたは満たされないだろう。
もし、誰かと心から繋がりたいと思うのであれば、リアルな世界のリアルな面倒さやリアルな退屈さを我慢して、リアルにコミュニケーションを取る以外に本当に満足できる関係を構築することは難しいのだ。

つまり、要するに今、ソーシャル・ネットワーキング・サービスが多くの人を引き付けているのは、「限定された交流しかできない」からなのだ。Twitterが会員数を増やしているのは、フォローしているユーザのツイートを逐一追う必要も無く、逆に自分のツイートもフォロアーの全員が細かくチェックしてるわけではない、という点ではないだろうか。
もう既に、24時間自分を映し続けてネットワーク上に動画を公開することは十分に可能だろう。そうすれば、日々の呟きは全てキーボードを叩くこともなくリアルタイムでネットワーク上に広がり、生活パターンや声や考え方もそのまま誰かの元へ届き、人と繋がるために必要な情報の大半を伝えることができるはずだ。

しかし、そこまではしたくないのである。
それは、リアルなコミュニケーションと全く同じ厄介さを伴うからだ。

今普及しているソーシャル・ネットワーキング・サービスは、「交流を限定するためにどのような点にフォーカスするか」によって差別化されている。写真だけに特化していたり、140文字のテキストだけの世界だったりするのだ。

ちょっと脱線した。

ソーシャル・ネットワーキング・サービスを使ってマーケティングを」という考えは、そもそも次のような段階を踏んでいるはずなのだ。

  1. 現代は、売り手からの一方的な広告だけではなく、人と人との社会的ネットワークが購買行動に大きな影響を持つ。すなわち、マーケティングにおいて、売り手と買い手の社会的ネットワークの構築が必要である
  2. 社会的ネットワークを構築するにあたって、コストなどの面から、現在運用されているソーシャル・ネットワーキング・サービスを活用することにメリットがある
  3. ソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用してマーケティングをする

最終的な目的は売り手にとっての売上と買い手にとっての満足であり、これを社会的ネットワークという面からアプローチするための手法の一つとしてソーシャル・ネットワーキング・サービスがあるのだ。

ソーシャル・ネットワーキング・サービスは、確かに楽しい。それは限定された交流だからだ。そして確かに安い。IT環境が利用価格をほぼゼロにまで落としたからだ。
しかし、もう一度本来の目的に立ち返ろう。本当に顧客と良好なコミュニケーションをとるために、ソーシャル・ネットワーキング・サービス以外にアプローチできる方法を考えてみたことがあったのか?もっと効果的な方法は本当に無いのか?

そんなわけで、今朝は店を出る配達スタッフの皆さんお一人お一人に声を掛けた。「おはようございます」それだけで出発してしまう方もいる。でも、中にはちょっとした悩み事を話してくれたり、世間話でにこやかに笑ったりする人もいる。確かに面倒だ。今朝なんかは本当に寒かった。でも、これが本当に基本的なことなんだな、と感じた冬の空に、ほのかな尿意。
トイレ行ってきます。