Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

20日重

職場兼実家での寝泊りを終え、本日より自宅で就寝。
思えば、東京往復40時間の旅(うち26時間ほどは運転)に出発したのが13日の朝であるから、12日の夜以来実に20日ぶりの自宅就寝だ。しかも一人。うまく寝付けるかなあ。


明日はできるだけ朝早めに出発したい。15時から息子が映画を見に行くというので、できればそれに間に合わせたいのだ。でも焦りは禁物。お土産は無事故でいいよ、お父さん。


東京で一晩休んで、日曜朝に東京を出発。日曜の夕方に白石に到着予定だ。前回の経験から、運転がどんな風に体にダメージを与えるのか良く分かった。特に目と頭のリフレッシュが不可欠で、地震直後のトリップ状態ならいざ知らず。生活と心に平穏を取り戻しつつある今は、十分な休憩を入れたほうがベターと踏んだ。東京でガソリンも入れておきたい。現時点で満タンに近いのでおそらく往復間に合うとは思うのだが、変なところで賭けても仕方ないし、万全を期したい。


行きはおそらく、14日から15日にかけて一人被災地に向けてひたすらアクセルを踏んだ夜のことを思い出すと思う。仕事を何とかこなさなくてはいけないという責任感と、被災地を救わねばならないという使命感、子どもたちの安全を確保した安心感、そして迫り来る闇と余震への恐怖感。ラジオからは、ずっと安否確認の知らせだった。何故か、ずっと聞き続けていた。
「○○県○○町の○○さんから、△△県△△町の△△さんへ。こちらは無事です。連絡ください。」
行ったことのない町の見知らぬ人が、やはり行ったことのない町の見知らぬ人の安否を知りたがっている。一人一人がそれぞれ人生を歩み、生活を送り、人間関係をつくり、家を建て、仕事をしていたのだ。たくさんの人生、生活、人間関係、家、仕事が失われてしまった。場合によっては、僕が誰かの安否を尋ねていたかも知れないし、逆に誰かから安否を尋ねられていたのかも知れない。その差は、本当に薄皮一枚しかないように思えた。


明日のラジオからは、震災関連のニュースに混じって色々な話題が聞けるかも知れない。少なくとも、エンドレスな安否確認放送は二度と聞くことがないだろう。それは、世界が震災以外のことにも目を向ける必要性に気づいたことを表し、そして悲しいことに、現在行方不明な方の生存は絶望的であるということでもあるのだ。


20日間というのは、それほどの時間なのだ。