Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

見ておくべきもの

今日は午後に仙台で会議。久しぶりに電車に乗る。


車で行っても良いのだけれど、昨日朝に起こった痛ましい事故がつい頭をよぎり、車の運転を避けたい気分になっている。自分だけが注意しても、決して安全ではないのだ。そして、道は緊急車両や不眠不休で作業する皆様の車で溢れていること。燃料も当面は大丈夫そうに見えてはいるが、多くの製油所が津波で破壊されておりエネルギーの供給力はまだまだ低い状態であること。自分の体力も温存しておく必要があること。
何より、じっくりと線路沿いの街並みを見てみたかった。自分で運転すると十分に見ることができないから、車窓からじっくりと見たいと思っている。被災の程度を見たいのではなくて、何となく自分が生きている場所をゆっくり見ておきたい気分なのだ。天災は、あっという間に街並み全てを消滅させてしまうことが、今回良く分かった。何気ない景色が、一瞬で変わり果てる。その前に、見ておくべきものがあるんじゃないか、と思っているのだ。


これまで何気なく普通に、見て、接し、味わっていたものが、そうでなくなることが、全く不思議じゃない。全てを失う瞬間は、いつも自分にピッタリと寄り添っており、今や今やと待ち構えている。
ライフラインが落ち着き、家族との日常が戻ってきたころから、何となくそう考えるようになった。全てのものがいとおしく、貴重なものに見える。季節の移り変わりに、何か見落としてやいないかと焦るのだ。


被災地の疲れ、とは、実はこんなところにもあるのかも知れない。