Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

未来を想像・創造

例えば10年後、2021年3月11日の14:46に開始というのはどうだろう。
東日本大震災復興活動の第一次打ち上げパーティーである。東日本の学校や職場全てでパーティを行う。14:46から1分間の黙祷を行い、乾杯だ。


おそらく、あっという間の10年に違いない。
瓦礫は既に撤去されているが、地震の傷跡が完全に直っているわけではない。徐々に沿岸部に工場などが建ち始めている。もちろん建造物としての地震津波対策が講じられているが、避難訓練や万が一の際の連絡網など、ソフト面での対策も十分練られている。恐怖感は拭えない。でも、恐怖を乗り越えてもやらなくてはいけない仕事があることを、みんな知っている。
農地も徐々に復旧してきている。塩害や放射能の影響もあるため、震災前のレベルへはまだほど遠いが、それでも新しい実りが人々に希望を与えている。災害後始めて実った豊かな作物の味は、どこか懐かしい味がするのだ。
原発はひとまず落ち着きを見せている。廃炉まではまだ時間がかかるものの、震災により全国の原発について安全性の確認が進み、代替エネルギーへの移行に向けたプロジェクトが盛んに行われている。これは日本だけではなく世界的な問題だ。日本の技術者がそのリーダーシップを取っている。研究機関の若手には、高校時代に被災した研究者がいる。災害に強いエネルギー源の発見・運用が彼らの夢だ。
津波を経験し、町外や県外に出たこどもたちが進学の時期を迎えはじめた。被災したこどもたちは一様に勤勉である。しかし、フラッシュバックのような症状が現れるこどももいる。精神的なフォローはまだまだ続くが、こどもたちの心の奥に、どこか強さのようなものを感じる。彼らは、日々思い出と闘っているのだ。
経済はまだまだ復興とは言いがたい。復興のために必要だったとはいえ、増税国債は国民一人一人に重くのしかかっている。しかし、日本は地震津波といった災害への対策という点で大きな進歩を見せた。技術だけではなく、市民生活やまちづくり、行政システムという様々な面で新しいアイディアが生まれつつある。これは世界中にニーズがあるものだ。
ひとまず、ここで乾杯しよう。新しい日本をつくるため、ここから再出発なのだ。


そんなことを想像したら、つい楽しくなってしまった。
現実になるだろうか?
現実にするのは、僕自身なのだ。