Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

役に立たない報告書

石巻と女川へ行ってきた。


多分、色々と書かなければいけないことがあるのだと思う。でも、今はどうしても言葉にならない。さっきからPCの前でうーんと唸ってみたが、一向に言葉が出てこない。情景も、僕の気持ちも、一体どこから描写したらよいのか見当がつかない。


もともと写真を撮ろうとは思っていなかったけれど、やはり写真を撮らなくて良かったと思う。僕には写真を撮ろうとする人の気が知れない、という理由だけではない。写真では表現できないものが多すぎる。可視光線を数メガピクセルの画像データに収めることは、事実のちっぽけな破片に過ぎないのだ。あるいは、音声の方がリアルを忠実に描写するかも知れない。そういうことだ。


道中、運転はもちろん疲れた。渋滞だし、悪路だし、冠水までしてた。でも、多分今僕を包み込んでいる疲れは、感情を抑制した疲れだと思う。感傷的になるまいと、やはり歯を食いしばり続けていた。泣くのは簡単だ。でも、今日の時点では涙は何の役にも立たない。感傷的になることは、単に自己満足に過ぎないからだ。


淡々と今日のスケジュールをこなした。行くべきところに行き、会うべき人に会い、渡すべきものを渡した。それで良いのだ。


何度も繰り返し書いていることを、今日も綴ってしまう。
他人の気持ちを完全に理解するなんて不可能なのだ。ただ、同じ時間と同じ場所を共有すれば、それだけでいいんだ。僕にはそれしかできないのだ。