Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

小さな決意

思いがけず、小さな決意の思い出がひょっこりと顔を出した。


正確な時期は分からないが、おそらく妹が生まれた前後、今の息子と同じ6歳頃のことだと思う。何がきっかけで、どういった気持ちでそうなったかもよく覚えていないけれど、確かに自分に誓ったことがある。それは、「やさしい人になろう」ということだった。
それから、自分なりに優しい人間になろうと思ってきた。


小学生の頃、誰かに優しく接することで、その人から好感を抱かれることが分かった。
中学になり、自分がどのように接しようとも、自分とは違う考え方をする人間がいることを知った。
高校になると、何気ない自分の行動が、時に大きく人を傷つけることがあることを理解した。
大学時代は、今相手を許容することが、必ずしもその人間にとって良いこととは限らないことを思い知った。
社会に出て、信頼している人間から裏切られても、決して失うことのない優しさについて悩んだ。
結婚して子どもを授かり、見返りを求めない愛情というものがどういうことか、何となく分かるような気がした。
そして震災に遭い、極限状態でも優しくなれる人間を見た。


僕が、本当の優しさを手に入れるには、まだまだ長い道のりがある。一歩一歩進むその道は、少年の僕が選んだ道だった。それはまさに大志だったのだろう。叶えるためには、途方も無い時間と努力が必要なのだ。