Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

ヒーローになりたい

大きくなったらヒーローになりたい、そう言ってたじゃないか。
弱い子に意地悪したり、年上だからって威張ったりするのがヒーローなのか?お父さんはそんな人間は大嫌いだ。


ヒーローって何だ?悪者をやっつけること?怪獣を武器や必殺技で殺すことか?
断じて違う。
ヒーローは、みんなの大切なモノを守るんだ。みんなの命や家族やまちや生活を守るんだ。いいかい、悪者や怪獣よりもっと怖いものがある。世の中には、もっと多くの人が死んでしまうことがあるんだよ。君は、みんなを守れるかい?守れるヒーローになれるかい?


そんなヒーローになりたいんだったら、意地悪しちゃダメだ。弱い子を守るんだ。
ヒーローになりたいんなら、威張っちゃダメだ。年下の子を守るんだ。


お父さんもね。6歳の頃はヒーローになりたかったよ。君と同じだ。それでね、実は、今も思ってる。今でも、お父さんはヒーローになりたいと思ってる。みんなの大切なモノを守りたいと思ってる。君と、妹と、お母さんを守りたいと思ってる。おじいちゃんもおばあちゃんも、おばさんもおじさんも、みんな守れる強いヒーローになりたいと思ってる。
だって、お父さんは、君が死んだらとても悲しい。みんな死んだらとても悲しい。だから、死んで欲しくないから、お父さんは君を、みんなを守りたい。


そして、お父さんは、君にもヒーローになって欲しい。お父さんと一緒に、みんなを守るヒーローになって欲しいんだ。君がなりたいと思った本当のヒーローになって欲しいんだ。


そしてもし、お父さんが死んだら、お母さんと妹を守って欲しいんだよ。いいね。男の約束だ。

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5/18、息子を叱ったときに話したこと。
こんなこと話すべきではなかったのかも知れない。6歳の息子には、もしかすると理解できないかも知れない。
でもそれでいい。少なくとも、僕の目は真剣だったはずだ。真剣に息子に話す父親を見せることはできた筈だ。
なぜなら、これは自分自身に言っているからだ。目に涙を浮かべてジッと父親を見つめていたのは、息子ではなく、僕自身だったのだ。