Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

線量測定

先ほどまで、息子が通う幼稚園の園庭の放射線量を測定してきました。正確に言うと、地表50cm高と1cm高の空間線量(μsv/h)と、地表面の放射性物質濃度(Bq/cm2)です。幾つか、当園独特な事象が判明したので、備忘録的に残しておきます。


園には、園舎に沿って木の板でできたテラスのようなものがあり、当初はそこに放射性物質が付着している可能性を考えていました。雨天時には開閉式の屋根が降りるのですが、3/15の夜から16未明にかけての雨天時には開いていたのではないかと思っていました。ところが、表面の放射性物質濃度は意外にも低く、空間線量もそれに従って低い結果となりました。よくよく話を聞くと、3/11の朝に雨(雪)が降っていたので、開閉式の屋根を降ろしていたところに震災が発生。そのまま停電が続いたため、暫くの間屋根は降りていたそうです。それが功を奏して、テラスには放射性物質が直接降下することはほとんどなかった模様。一安心でした。


遊具の無い広い園庭の表面を測定すると、意外にも低い値が出ました。ところが、数センチ掘ってみると逆に高い数値が検出。不思議に思って話を聞けば、よく車が通り駐車場にもなるこのスペースには、雨天時にドロドロになってしまう山砂は使わず、石を砕いた「マット」と呼ばれる砂を敷き詰めているとのこと。セシウムは粘土の層に吸着する性質があり、どうも「マット」の部分は通過して下にある粘土層に吸着した模様です。従い、このあたりは逆に表面を削ると線量が高くなってしまうことになります。協議の結果、水たまりなど低い部分をならし、上から更にマットを敷くことにより放射性物質を閉じ込める方法が最適だと判断しました。


砂場については、先週土曜の時点で表面の放射性物質濃度はとても低い値だったものが、今日はやや高い値を示していました。土曜の時点で話を聞いたところによれば、幼稚園が再開する前の4月、毎年行っている砂場の消毒作業があり、減った分の砂を上に盛ったとのこと。それで土曜の時点では表面の放射性物質が低いことが分かりました。今日は午前中から夏の消毒作業があり、今回は全ての砂を焼いて殺菌する作業を行っていました。そのため、放射性物質を含む砂と含まない砂が混じってしまい、土曜よりも今日の値の方が高かったのではないかと考えられます。


特に線量や表面濃度が高かったのは、避難用に使用するすべり台の下。雨水に含まれた放射性物質や、屋根などに付着した放射性物質を流した雨水などが集まっているところです。ここは重点的に除去する必要があります。同様に雨といの下なども高い数値が検出されました。残っている土などを取り出したあとに、高圧洗浄機で洗う作業が必要となります。


結構広い庭のため作業量は凄まじいものがあるのですが、残念ながら参加者も少なく、作業できる日にちも限定されているのが現状です。どこか有志の団体が手伝ってくれればなあ、そんな風にも思ってしまいます。いずれにせよ、今日でおおよその段取りを決めましたので、後は少々の調整と当日を待つのみです。


これが我々の放射能との付き合い方。もう逃げることはできないのだから、毅然と立ち向かおう。子どもたちとその親が安心して遊べる空間を少しでも増やしていきたい。そんな風に思っています。