Hang In There

蔵王の麓で新聞屋さんが子どものこととか震災のこととか思い出などを綴ります

【急募】ビジョンを示すだけの簡単なお仕事です

明確な復興ビジョンを示せるリーダーが不在なんだと思う。


不安感がまちを覆っているように見える。
何と言っても放射能だ。特に米については、多くの人が稲作に従事しており、またそういった知人から個人的に購入することが多いこの地域にとっては、紛れもなく死活問題である。東京穀物商品取引所では米の先物取引が戦前以来72年ぶりに行なわれ、この地域でも既に買い占めが動いている。果たして我々は来年米を食べることができるのか。子どもたちに安全な食品を食べさせてあげられるのか。そして、農作物は売れるのか。売れなかった場合の保障はされるのか。来年以降の作付けは。ただでさえ限界が近づいている農業の後継者問題は。悩みは尽きない。
経済の問題も深刻だ。人口が減り、多くの人は財産の一部を失った。生活必需品は、できるだけ安いものを選ぶとしても必ず揃える必要があるが、「豊かな暮らし」を演出していたその他の商品については、購買の優先度を極力低くせざるを得ない。それはどの商品もどの業界も避けることができない。税金を使った事業が、果たしていつまで続くのだろう。震災前から既に厳しい状況だった地域が、復興という名のもとに自立することはできるのか。


ある研修会で、「リーダーの仕事とは問題をつくることだ」と学んだ。問題とは、理想と現実のギャップだ。問題が無い、すなわち現状維持という状態は、必ず衰退する。理想を掲げ、メンバーに現状からのステップアップを促すのだ。
今直面している問題は、震災前の状態に対するギャップだ。瓦礫を片付け、用地と道路を整備し、放射性物質を取り除かなければ、震災前には戻らない。確かにそれは解決がとても難しく困難な問題だ。でも、例えその問題をクリアしたとしても「震災前にしか戻らない」という事実が、不安感を拭えない要因の一つであることは確かだろう。


震災前の「普通の日常」を超えた、夢と希望が溢れる理想の未来像を、僕たちは欲している。
そんな未来を僕たちに分かりやすく伝えてくれる、そんなリーダーを、僕たちは欲している。