曖昧な方がいいもの
小さいころから、「君の夢は何だい?」と聞かれると、決まってこう答えるようにしている。
「世界平和です」
僕に質問したイヤミなオジサンはハッハッハッと笑い、僕に蔑むような視線を向け「そうかそうか」と言った。子供じみた夢だと思ったことだろう。実現不可能な、まさに夢物語だ、そう思ったに違いない。
僕は本気だった。そして、今も本気だ。
ところが、世界平和は確かに遠い。ひょっとしたら、僕が死ぬ前には実現できないかも知れない。いいじゃないか。実現不可能なぐらいがちょうどいい。そして、解釈がたくさんあり得る。到達点が曖昧だ。それがいい。実現に向かうには無限の道があって、今どんなに悩んでいても、どんな失敗をしても、なお夢に近づく選択肢が残されている。
顔を上げて、遠くに見える光を目指し、その一歩を踏み出せばいい。